ワケあり同士による華麗なる政略結婚


一夜を過ごしたラブホテルはマンションから近い所だったようで直ぐに着いてしまった。

まるで駄々を捏ねている子供のように車から降りるのを躊躇していると、勘違いした彼が助手席から抱きかかえてくれた。










『まだ力が入らないのか?体力なさすぎだろ、、、本当。』








呆れた口調なのに表情は優しくて、胸がきゅっと締め付けられて首にしがみつく。

夫婦なのだから、これくらいは許されるかなっと心の中で小さく謝って呟いた。









「すみません、、。最近は交通機関を利用しているので足腰が弱ってしまいました。これからは体力付けます。ジムとか、、行って見ようかなって、、。」

『、、いやジムとかやめとけ。女がそんなに体力ありすぎるのもおかしいだろ。さっきも言っただろ。お前はそのままでいい。いつでもこうして運んでやる。だからそのままでいればいい。』








エレベーターで上の階を目指しながら、そんな事を耳元で囁かれ腰が砕けそうだ。

他の女性にも言ってるのかな。

もしそうならやめて欲しい。






免疫のない私には、その言葉を鵜呑みにしてどんどん彼を好きになる。




< 232 / 311 >

この作品をシェア

pagetop