ワケあり同士による華麗なる政略結婚


シャワーを浴び、部屋着に着替え終わると今度は1人分の食事を作る。

新品同様の広々としたキッチンは使った形跡がなく、ここで誰かが生活しているとは思えないほどだった。

使うのは気が引けたが、こればかりは仕方ないと使わせてもらうと使い勝手がとても良くて料理するのが楽しい。

本当は彼の分も作りたいが、嫌がられるのが怖くて作らずにいた。









「、、頂きます。」



1人で手を合わせ自分の部屋で夕飯を食べていると、玄関から物音が聞こえ身体が固まった。








「っ、、!もしかして、、泥棒、、っ!?」



気のせいだと思いたいのに、願いは虚しく足音はどんどんと近づいてきて部屋の前で止まった。

そして急に聞こえたノックの音に驚いて、テーブルの上にあったスープの器に腕が当たってしまった。







「あっ、、、つ、、っ!」



あまりの熱さに思わず声を上げるとドアが勢い良く開き、1週間ぶりの彼が入ってきた。





『どうしたっ、、!?っておい!!!火傷してるんじゃないか!?』

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