ワケあり同士による華麗なる政略結婚
『、、正直な所をいうとあいつと別居婚をしていた当初は、身体だけの関係の女もいた。でもあいつと住み始めて、他人と生活を共にするのが無理だった筈の俺が何故かあいつとは不思議と生活を共有できて、、いつしか俺の中であいつが〝特別な女〟になった。そんな風に思えた相手は後にも先にも美麗だけだ。』
「じゃあ、今は誰とも関係を持っていない。つまり、、あの子の勘違いって事?」
『あぁ。』
「、、それを美麗に話したことは?」
『いや、、ない。』
俯きながら答えると、盛大な溜息が聞こえた。
「貴方ってロクな恋愛してきてないでしょ?まぁ、、?それだけの容姿で大企業の御曹司とくればロクな女が寄ってこないのは想像つくけど、、結局貴方も遅すぎる〝初恋〟って訳ね?それは確かに拗れるのも納得だわ。」
額に手を置いて項垂れる男は、暫く黙り込んでから無言で立ち上がった。
『おいっ、、それどういう意味だっ、、!』
後を追いかけて肩を掴むと、振り返り眉を下げて笑った。
「そろそろ帰るわ。聞きたいことも聞けたし、貴方が美麗をどう思っているのかも分かったから。それに、、貴方が凄い形相で私にトキメキのかけらもない壁ドンしてきた事とあんなに大きな声で貴方が叫んでもあの子が起きてこない所を見る限り、、貴方が美麗にした事の想像はつくわ。どうせ勝手に勘違いして嫉妬と怒りに任せて、抱き潰したってとこかしら?」