ワケあり同士による華麗なる政略結婚
「、、それが分かってるならきっと大丈夫よ。私みたいに意気地なしだと後悔することになるから。」
『あんたは後悔してるのか?』
「どうだろ、、。でも案外このポジションも気に入ってるわ。だって親友だったら〝別れ〟なんて一生来ないもの。うん、、悪くないのかもね!貴方はそういう訳にはいかないだろうからせいぜい足掻く事ね!!」
そういい残してスッキリした表情を浮かべながら外へと出て行った男。
その姿を見る限り、一応認めてもらえたようだ。
男が出ていったドアを暫く見つめてから、あいつが眠る寝室へと足を向ける。
中へ入るといつ眼が覚めるかも分からないほど、深い眠りに入っている美麗の姿。
あの男のお陰で誤解だと分かり先程まであった真っ黒な感情は消えたが、ボロボロな姿で静かに寝息を立てているあいつを見て心が痛んだ。
両家の為にと必死に夫婦としての義務を果たそうと手を伸ばしてきた美麗。
例えそこに愛が無くても、あいつの夫として側にいれればそれでいいと思っていた。
それなのに酷く傷つけ、恐怖を与えた。
静か眠る美麗に手を伸ばす。
自らが招いた結果だとしても、もうこうして眠る間しか触れる事も出来なくなるかもしれないと思うと、やるせない気持ちにさせる。
眠るあいつの唇に優しくキスを落としてから寝室を出た。
絶対にあいつを手離さない。
そう覚悟を決めると一睡もすることなく、会社へと向かったのだった。