ワケあり同士による華麗なる政略結婚
episode11
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ふと眼が覚めると、いつものように寝室のベッドにいた。
いつもはそこにある温もりが無いことに気づいて、上半身を起こして辺りを見渡す。
すると時計が目に入り、時刻に驚愕する。
「えっ、、!?もう夕方!?!?」
慌ててベッドから降りようとするが、下半身に力が入らず動けない。
そこでようやく意識がハッキリとしてきて、昨日の出来事を思い出した。
乱暴に手を引かれ、連れていかれた寝室。
そのままベッドへと組み敷かれ、見下ろすその目には怒りが宿り光もなく虚ろ。
自由を奪われて乱暴に繋がった夜。
鮮明に流れ込んでくる昨晩の出来事に、身体が無意識に震える。
まるで知らない人のようだった。
大きな手も逞しい肉体も全て彼のモノなのに、普段とは違う触れ方に知らない香水の香りに涙が止まらなかった。
トラウマとなったあの時の恐怖が蘇る。
彼を見ているとそんな男達と重なって、、それがどうしようもなく嫌で必死に目を瞑る。
そのお陰で幸いに過呼吸も発作も起こらなかった。