ワケあり同士による華麗なる政略結婚
納得のいってないを母を必死になだめていると、コツコツと靴の音が聞こえ待ち合わせをしていた人物達がこちらへ向かってきた。
その途端、身体が強張って硬直してしまう。
「や、遅くなって申し訳ない。道が混んでいて遅れてしまった。」
「いや、我々も今来た所だよ。」
父親同士が笑顔で会話をしている最中も、顔を上げることが出来ない。
それでも必死に言葉を絞り出しながら、声を掛けた。
「大変、、ご無沙汰しております。お義父様、お義母様、、誠也さん。」
短いこの言葉を発するだけで全身からは汗が吹き出す。
「元気にしてかい?美麗さん。」
「可愛さは相変わらずねっ。」
『〝も〟だろう?相変わらずみたいだな。顔を合わせただけでこれだ。』
呆れたような低い声を出す彼に、どうしても肩が上がってしまう。