ワケあり同士による華麗なる政略結婚


だからその手の話題はやんわりと交わしてきたが、とうとう限界が来た。

久しぶりに会う相手は相変わらずでこちらを見ようともしない。





自分の置かれている状況も理解していない箱入り娘に腹が立って、悪態をつけば肩を震わせ怯える始末。

やはり最初からこの結婚には無理があった。

だから父親が今の現状を伝えれば、きっと泣き出して逃げ出すか倒れるかだろう。






そうなればこの茶番も終わり。


離婚も覚悟していたが、まさかの反応で逆にこちらが戸惑ってしまう。






夫婦になって、まともに顔を見たのも初めてで、こちらに向けてくる覚悟を決めたような表情はとても綺麗で目を逸らせない。



あんなに心配していた藤原の両親も、その揺らがない瞳に感化されたのか後は2人だけでと皆、席を外した。




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