ワケあり同士による華麗なる政略結婚
episode4
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「最近、肌ツヤがとてもよくなったの。貴方のおかげかしら。また指名するわっ。」
「ありがとうございます。またのお越しをお待ちいたしております。」
お客様を出入り口まで見送って深々と頭を下げる。
ここ最近、指名して下さるお客様が増えた。
指名を貰うたび、なんだか認められたみたいで嬉しいと感じる。
1人でニヤニヤして店内へ戻ると店長から肩を叩かれた。
「ここ最近、よく頑張ってるわねっ!!表情も明るくなったし。さては私生活でいい事でもあったんでしょー?」
「わ、分かりますか?」
「やっぱりそうなんだっ!いいね〜〜っ!!プライベートが充実してると仕事にも出るもんね。」
店長にだけは自分が男性恐怖症である事と既婚者である事は打ち明けている。
ただその他は何も伝えていない。
自分が藤原商事の一人娘であることも、相手が本宮ホールディングスの御曹司である事も誰にも言っていない。
もう藤原の姓を抜けているし、元々藤原商事には一切関わっていなかったからだ。
正直な胸の内を言うならば、こんな出来損ないの自分が藤原の一員であるとバレてしまえば家族にも父の会社にも迷惑が掛かる。
そして結婚して本宮の姓になってからも、その思いは更に増すばかりだ。
だがそんな劣等感が両家の会社に迷惑を掛けているなんて思ってもおらず、それが判明したあの日がきっかけとなり駄目な自分から変わりたいと思った。