ワケあり同士による華麗なる政略結婚
結局痕には残ってしまったが、その痕を見るたびにくすぐったい気持ちになる。
これが私達を夫婦として繋ぎとめてくれたモノだと思うと、その火傷の痕さえ愛おしく思えた。
思い出に浸っていると少しくらっと眩暈がして慌てて浴槽から上がった。
気づけば長湯していたようで時計を確認すると帰宅してから3時間も経過していて、もうそろそろかなと思った所で鍵の開く音がした。
髪はまだ濡れていたが、玄関に駆けていくと靴を脱いでいる彼を見つけた。
「おかえりなさい、誠也さん。仕事お疲れ様でした。、、今日も早いお帰りでしたねっ、、!」
彼の早い帰宅につい嬉しくなって笑顔で声を掛けると、仕事で疲れていてもちゃんと言葉を返してくれる。
『あぁ、比較的に仕事が落ち着いてるからな。お前は風呂上がりか?』
「はいっ。少し長く浸かりすぎました。」