ワケあり同士による華麗なる政略結婚
バックと上着を玄関で受け取り、彼の後をついていきリビングに入る。
実はここ最近、彼の帰宅が早くて日付が変わる前の帰宅が多いのだ。
寝る前までの少しの時間だが、彼と一言二言会話をするその何気ない時間がとっても好きで最近の密かな楽しみでもある。
朝もコーヒーを入れて準備をしていると必ずリビングに腰掛けて、同じ時間を過ごしてくれる。
勿論その時も少し遠い席に座ってコーヒーを飲むだけだ。
でも新聞を見ながらも穏やかな雰囲気でコーヒーを飲む彼を盗み見るのも、玄関までお見送りにいくと〝行ってくる〟と言葉を返してくれる何気無い会話のやり取りが嬉しい。
大概は寝る前くらいの帰宅が多いのだが、今日はゆっくりし過ぎてしまったようだ。
彼が振り返り、濡れている髪に触れた。
ドキッとはするものの、怖さはない。
「、、誠也さん、、?」
呼びかけると目を細める彼。
『少し顔が赤いな。湯当たりか、、?早く髪を乾かせ。今日は少し冷えるから湯船に浸かりたいが、風呂、、まだ入れるか?』