エンペデスク
第1話
信じて
これがフィクションなら劇的な場面からはじまるが、実際はそんなもんじゃない。ただの普通な始まり方だ。僕の名前はカイト。純日本人だ。そしてひとりっこだ。甘やかされて育ったといえばそうだ。父と母は僕を甘やかした。そのおかげで僕は今なにごとに対しても無関心だ。これはある公園からはじまる。公園からの帰り道の話だ。あいつに出会ったのは。
「みかちゃんばいばい!」
そういってお互いこどもたちは公園から遊び去っていった。影が伸びる夕方のことだった。
僕は公園のブランコでひとりこれからのことについて考えていた。こどもたちの声とともに思考停止し、家に帰ることにした。
夕日が眩しく、目を塞ぎたくなるほどだ。
今日の夕焼けはいつもと違うくて紫色だった。
いつもの帰り道を帰っていたが不意に近道がしたくなり、近道そうな道を歩くことにした。
暗い路地裏、なんで僕はここを歩いているのだろう。不意に上を見上げると赤い鳥がこちらを見ていた。
なんだこの赤い鳥。
気味が悪い。
「そこの若い兄ちゃん、一回10000万円だよー」
声をかけられて前を見ると目の前にはいかがわしい店の声かけスタッフが僕に話しかけていた。す
「すいません、今急いでいるんで」
僕は声を出した。我に帰って周りを見渡すと、周りはいかがわしいお店でいっぱいだった。
なんだここは。いつのまにか間違えて入ってしまったんだ。僕は思った。
「兄ちゃん、それはねぇぜ、わかってここの快楽園に入ってきたんだろ?」
その勧誘の黒服スーツのひとは僕に歩み寄った。
僕はお金を今持っていない。入れない。入るつもりもないが。だがしつこいからどうやってこの問題から抜け出すか考えた。
「あの…「やあ!久しぶりカイト!俺のこと覚えてる?」」
僕は後ろからする声にはっとし、振り返った。
そこには黒いスーツ姿の美少年、僕よりは歳上そうだが、が立っていた。
「えっと…「カマナだよ!俺!この間道を尋ねただけだから、覚えてないかー。あのときは助かったよ。俺本当に分からなかったから。」」
そうだ。思い出した。カマナは1週間前に道を尋ねられた美少年だった。こんな美少年を忘れるなんて僕はなんて記憶をしているのか。ちなみに僕にはそっちけいの趣味はない。
「若い兄ちゃん2人かー負けといて2人で15000円にしといたらぁ!」
「すいません、僕たち今からあなたの社長さんとお話がありまして、今回は遠慮させていただきます」
そう美少年は微笑んで勧誘に答えた。
勧誘は美少年の笑顔に頬を染めた。それくらいの美少年だ。勧誘の人にそっちけいの趣味があるかは分からないが。
勧誘は別の方へ去っていった。
しかしなぜ僕はこんな道へ入ったのだろうか。普通なら気がつくはずだ。
とにかくカマナにお礼を言おうとカマナの方へ振り返った。
「勧誘を追い払ってくれてありがとうございます。」
「いえいえ、断りづらそうだから、俺が言ったんだ。この間のお礼さ。」
そう言って僕の瞳を見た。いや、ほんとに美少年。こんな顔に生まれたかった。世の中変わって見えるだろうな。凡人な僕とは違って。
見つめていたらカマナの人形のような顔が声を発した。
「今からこの先の花屋に行くんだけど一緒に来ない?是非この機会にカイトと仲良くなりたいな。」
僕の家もこの先にありそうなので、ついていくことにした。途中で道を間違えたら花屋に行くのをやめて帰ればいいか。
僕は頷きついていくことにした。
紫色の夕方の光が差し込む中僕たちは歩いていった。
「カイト、この間は道案内助かったよ。そのおかげで仲間とも会えた。携帯の充電が切れちゃってまいったよ。」
カマナはジェスチャーを加えて言った。
「よく僕のこと覚えていましたね。僕びっくりしました。もう二度と会わないと思っていたので。」
本音だ。
「そう?俺はいつか会うと思ってたよ。
思うよりこの世界は狭いから。」
「そうなんですか。話変わりますけど…花屋さんはこの道をまっすぐですか?」
「まっすぐだよ。」
それなら僕の家の帰り道だろう。そう確信した。
「そこの花屋さん、世界各国の花を集めてるんだ。俺はその常連。その花たちの虜さ。もちろん花屋の看板娘も一押しだ。」
「そうなんですか。僕、花詳しくないんで分からないけど、なんとなく良さそうですね。」
「気に入った花があったらカイトにプレゼントしよう。俺こうみたって結構稼いでるんだ。」
カマナはふふんというジェスチャーを加えた。
彼はちなみにハーフだ。ロシア系の血でも混じっているのだろうか。とても美少年だ。あと会話から伝わってくる魅力と知的さ。どんな女でもいちころの雰囲気を漂わせている。
「ついた!ここだよ。」
「いらっしゃい、カマナさん、今日はなににします?」
看板娘が出てきた。純日本人だが惹きつけられるような雰囲気を醸し出している。2人はとてもお似合いだ。僕は話をする2人を横目に店の中を練り歩いた。
しかし、色とりどりの花があるもんだなー。と感心させられていたら、ふと肩を叩かれたので振り返ったするとそこには、さきほどの看板娘とは違うヨーロッパ系の美女が立っていた。
今日はいろんなひとに後ろに立たれる日だなぁとも思った。
「はじめまして、私はここの店のオーナーです。今日はどんな花をお求めに?」
「えっと、見てるだけです。」
僕は彼女に見とれて言った。
「そうなの。好きに見てね。ところで、カマナさんが誰かとやってくるなんて珍しくて驚いたわ。あなた名前なんて言うの?」
「カイトです。カマナさんは頻繁にここに来るんですか?」
「カイトね!よろしく!頻繁に来るわ。彼はいつも花束を買って行かれるわ。」
「そう!俺はいつも花束を買って帰るよ。」
カマナがいつのまにかとなりにいた。
看板娘もまた隣にいてこう声を発した。
「私のおススメをいつも買ってくださるの。選びがいがあるわ。今日はそれでいいのよね?」
カマナの腕を見ると色とりどりの花束を持っていた。高価そうだ。花の値打ちなどわからないが、素人が見るだけでも分かるこれは高価だ。
「今回もカマナさん、お買い上げしてくれてありがとうございます。ではこちらで会計をします。」
ヨーロッパ系の美女は言った。するとストップというジェスチャーでカマナはこう言った。
「カイト、好きな花を選んでいいよ」
「えっと、見てるだけなんで僕。」
「そうか?ここの花は幸せを運んでくる花なんだよ。一本でもいいから選んだら?」
カマナはニコニコとそう言った。
今回の花束を見て上機嫌なのだ。
幸せの花か…買ってくれるのかなんか悪いな。僕はそう思ったがせっかくだからと目に付いた花を指差した。遠くにある花だ。一本だけ色が違う雰囲気も違う花だ。なぜかそれが僕はいたく気に入った。
「ミナさんこれは買えるのかな?」
ミナさんとはヨーロッパ系の美女のことだろう。
「ええ、もちろん。お目が高い、これは私が手に塩をかけて育てた薔薇ですわ。もちろんお高いですわ。」
「だそうだ、カイト、花を見る目があるな。」
看板娘も僕を褒めてきた。なんかちょっと嬉しい。
そして会計を済まして、僕とカマナは花屋を後にした。
もういつのまにか紫色の夕日も消えかかっていた。
それからたわいもないはなしをして僕たちはお別れを言った。帰りの際に僕は連絡先の交換をお願いしたが、またどこかできっと会えるさ世の中は狭いと言い放ちお互い別れた。見慣れた景色が目に映り込み、もう家に近いことを物語っていた。そんな帰路のことだった。
信じて
これがフィクションなら劇的な場面からはじまるが、実際はそんなもんじゃない。ただの普通な始まり方だ。僕の名前はカイト。純日本人だ。そしてひとりっこだ。甘やかされて育ったといえばそうだ。父と母は僕を甘やかした。そのおかげで僕は今なにごとに対しても無関心だ。これはある公園からはじまる。公園からの帰り道の話だ。あいつに出会ったのは。
「みかちゃんばいばい!」
そういってお互いこどもたちは公園から遊び去っていった。影が伸びる夕方のことだった。
僕は公園のブランコでひとりこれからのことについて考えていた。こどもたちの声とともに思考停止し、家に帰ることにした。
夕日が眩しく、目を塞ぎたくなるほどだ。
今日の夕焼けはいつもと違うくて紫色だった。
いつもの帰り道を帰っていたが不意に近道がしたくなり、近道そうな道を歩くことにした。
暗い路地裏、なんで僕はここを歩いているのだろう。不意に上を見上げると赤い鳥がこちらを見ていた。
なんだこの赤い鳥。
気味が悪い。
「そこの若い兄ちゃん、一回10000万円だよー」
声をかけられて前を見ると目の前にはいかがわしい店の声かけスタッフが僕に話しかけていた。す
「すいません、今急いでいるんで」
僕は声を出した。我に帰って周りを見渡すと、周りはいかがわしいお店でいっぱいだった。
なんだここは。いつのまにか間違えて入ってしまったんだ。僕は思った。
「兄ちゃん、それはねぇぜ、わかってここの快楽園に入ってきたんだろ?」
その勧誘の黒服スーツのひとは僕に歩み寄った。
僕はお金を今持っていない。入れない。入るつもりもないが。だがしつこいからどうやってこの問題から抜け出すか考えた。
「あの…「やあ!久しぶりカイト!俺のこと覚えてる?」」
僕は後ろからする声にはっとし、振り返った。
そこには黒いスーツ姿の美少年、僕よりは歳上そうだが、が立っていた。
「えっと…「カマナだよ!俺!この間道を尋ねただけだから、覚えてないかー。あのときは助かったよ。俺本当に分からなかったから。」」
そうだ。思い出した。カマナは1週間前に道を尋ねられた美少年だった。こんな美少年を忘れるなんて僕はなんて記憶をしているのか。ちなみに僕にはそっちけいの趣味はない。
「若い兄ちゃん2人かー負けといて2人で15000円にしといたらぁ!」
「すいません、僕たち今からあなたの社長さんとお話がありまして、今回は遠慮させていただきます」
そう美少年は微笑んで勧誘に答えた。
勧誘は美少年の笑顔に頬を染めた。それくらいの美少年だ。勧誘の人にそっちけいの趣味があるかは分からないが。
勧誘は別の方へ去っていった。
しかしなぜ僕はこんな道へ入ったのだろうか。普通なら気がつくはずだ。
とにかくカマナにお礼を言おうとカマナの方へ振り返った。
「勧誘を追い払ってくれてありがとうございます。」
「いえいえ、断りづらそうだから、俺が言ったんだ。この間のお礼さ。」
そう言って僕の瞳を見た。いや、ほんとに美少年。こんな顔に生まれたかった。世の中変わって見えるだろうな。凡人な僕とは違って。
見つめていたらカマナの人形のような顔が声を発した。
「今からこの先の花屋に行くんだけど一緒に来ない?是非この機会にカイトと仲良くなりたいな。」
僕の家もこの先にありそうなので、ついていくことにした。途中で道を間違えたら花屋に行くのをやめて帰ればいいか。
僕は頷きついていくことにした。
紫色の夕方の光が差し込む中僕たちは歩いていった。
「カイト、この間は道案内助かったよ。そのおかげで仲間とも会えた。携帯の充電が切れちゃってまいったよ。」
カマナはジェスチャーを加えて言った。
「よく僕のこと覚えていましたね。僕びっくりしました。もう二度と会わないと思っていたので。」
本音だ。
「そう?俺はいつか会うと思ってたよ。
思うよりこの世界は狭いから。」
「そうなんですか。話変わりますけど…花屋さんはこの道をまっすぐですか?」
「まっすぐだよ。」
それなら僕の家の帰り道だろう。そう確信した。
「そこの花屋さん、世界各国の花を集めてるんだ。俺はその常連。その花たちの虜さ。もちろん花屋の看板娘も一押しだ。」
「そうなんですか。僕、花詳しくないんで分からないけど、なんとなく良さそうですね。」
「気に入った花があったらカイトにプレゼントしよう。俺こうみたって結構稼いでるんだ。」
カマナはふふんというジェスチャーを加えた。
彼はちなみにハーフだ。ロシア系の血でも混じっているのだろうか。とても美少年だ。あと会話から伝わってくる魅力と知的さ。どんな女でもいちころの雰囲気を漂わせている。
「ついた!ここだよ。」
「いらっしゃい、カマナさん、今日はなににします?」
看板娘が出てきた。純日本人だが惹きつけられるような雰囲気を醸し出している。2人はとてもお似合いだ。僕は話をする2人を横目に店の中を練り歩いた。
しかし、色とりどりの花があるもんだなー。と感心させられていたら、ふと肩を叩かれたので振り返ったするとそこには、さきほどの看板娘とは違うヨーロッパ系の美女が立っていた。
今日はいろんなひとに後ろに立たれる日だなぁとも思った。
「はじめまして、私はここの店のオーナーです。今日はどんな花をお求めに?」
「えっと、見てるだけです。」
僕は彼女に見とれて言った。
「そうなの。好きに見てね。ところで、カマナさんが誰かとやってくるなんて珍しくて驚いたわ。あなた名前なんて言うの?」
「カイトです。カマナさんは頻繁にここに来るんですか?」
「カイトね!よろしく!頻繁に来るわ。彼はいつも花束を買って行かれるわ。」
「そう!俺はいつも花束を買って帰るよ。」
カマナがいつのまにかとなりにいた。
看板娘もまた隣にいてこう声を発した。
「私のおススメをいつも買ってくださるの。選びがいがあるわ。今日はそれでいいのよね?」
カマナの腕を見ると色とりどりの花束を持っていた。高価そうだ。花の値打ちなどわからないが、素人が見るだけでも分かるこれは高価だ。
「今回もカマナさん、お買い上げしてくれてありがとうございます。ではこちらで会計をします。」
ヨーロッパ系の美女は言った。するとストップというジェスチャーでカマナはこう言った。
「カイト、好きな花を選んでいいよ」
「えっと、見てるだけなんで僕。」
「そうか?ここの花は幸せを運んでくる花なんだよ。一本でもいいから選んだら?」
カマナはニコニコとそう言った。
今回の花束を見て上機嫌なのだ。
幸せの花か…買ってくれるのかなんか悪いな。僕はそう思ったがせっかくだからと目に付いた花を指差した。遠くにある花だ。一本だけ色が違う雰囲気も違う花だ。なぜかそれが僕はいたく気に入った。
「ミナさんこれは買えるのかな?」
ミナさんとはヨーロッパ系の美女のことだろう。
「ええ、もちろん。お目が高い、これは私が手に塩をかけて育てた薔薇ですわ。もちろんお高いですわ。」
「だそうだ、カイト、花を見る目があるな。」
看板娘も僕を褒めてきた。なんかちょっと嬉しい。
そして会計を済まして、僕とカマナは花屋を後にした。
もういつのまにか紫色の夕日も消えかかっていた。
それからたわいもないはなしをして僕たちはお別れを言った。帰りの際に僕は連絡先の交換をお願いしたが、またどこかできっと会えるさ世の中は狭いと言い放ちお互い別れた。見慣れた景色が目に映り込み、もう家に近いことを物語っていた。そんな帰路のことだった。