今の君を僕は知らない
幼い頃からずっと料理が好きだった。


母親が料理をしてる側で、ベッタリとくっ付いて


眺めているうちに気づいたら好きになって…


小学4年生の頃からは晩御飯を毎日作っては


それを家族に振る舞い喜んでもらえる事に


幸せを感じ、料理人になりたいと思うようになった。

そして、中学に上がる頃には

クラスの男女に俺が料理好きである噂は知れ渡っており


毎日のように近寄って来てくる女子達に


「理斗君の料理食べてみたい!」


そう言われるようになっていた。


俺の料理で喜んで貰えることは

とても嬉しくて弁当制でもあった中学からは


たまに早起きして多めに弁当を作っていた。


しかし…それも1年生の間だけ。


皆から言われるのは

美味しい!

凄い!


そんな言葉ばかりで…


嬉しくない訳ではなかったが…


俺の努力を褒めてはくれなかった。



頑張ってるんだね!



そう言われたかった。



レシピ本を見て勉強し…少ない中学時代のお小遣いで材料を買い練習していたのに…


それが当時の俺には凄く寂しく感じて


2年生からは弁当を分ける事はほとんどなくなった。




でも、2年生のある日…




俺が体調を崩して保健室のベッドで寝ていると…


君が現れた。


その子は1年生の時からクラスが一緒の子で、話した事は無かったけど


身長は150cm程で少し小柄だが、綺麗な肩くらいまでの髪の毛が印象な女の子だった。


そんな彼女が俺に何の用かなと


不思議に思っていると


恐る恐る俺のとこにきた彼女は開口一番に謝ってきた。
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