大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「はーい」

手を挙げ元気よく返事をして、タクシーを探そうと辺りを見回しながらの会話。

「お前、かなり酔ってるな」

「そうかな?」

「これから俺と何するかわかってるのか?」

「わかってるよ。慰めてくれるんでしょう!」

はぁーとまた大きなため息。

「俺のありったけの理性でてこい。この酔っ払いをどうにかしてくれ」

「何言ってるの?私は全然オッケーだよ。今更、私を抱けないなんて言わないよね。あんたも私は女じゃないの?それなら、別の人探すけど」

繋いでいた手を振り払い、今にも引き返そうとする私の手を繋ぎなおした奏。

「逃げるなよ」

「逃げてないってば…躊躇ってるのはそっちでしょ!」

「わかったよ…腹くくる。抱いたら離してやれないからな」

「腹くくるって決意しないと私って抱けない存在なの?来るもの拒まないくせに私じゃダメ?」

「あーもう。うるさい黙れ」

ドサッと荷物が落ちた音の後、後頭部を引き寄せられて唇に温かな感触が触れていた。

唇を食んだ後、ツーと下唇をなぞり、唇から離れると男の舌が自分の上唇を艶めかしく舐めた。

「お前はいい女だよ。抱かせろ」

艶めいて欲情を孕んだ目に捉われる。
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