大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「付き合っている彼氏いないんだよね」
まぁ、確かにいないけど…奏がちらつく。
今回も、すんなり帰してくれる男性ではないらしい。
「彼氏はいます」
こういうタイプには、嘘をついてでも彼氏がいるというしかない。
「どんな奴?」
しつこいな…
「いう必要あります?あなたとは付き合えません」
「彼氏がいるなんて嘘だろ。数日前に振られた奴にいないって言ったの知ってるんだよね。俺にもチャンスあるよね」
だから…ないってば!
リサーチ済みで、無駄に自分に自信があるから告白してくるんだろうけど、奏と比べてしまう。
どうして奏なんだろう?
私の好きな人は健さんなのに…
「今から彼氏とデートなので、帰っていいです?」
「嘘つかなくてもいいのに」
あーもう、最近なんなの⁈こんな奴ばかりだ。
奏といい、無駄にいい男達が近寄ってくるが、性格は最悪。
奏の方が数倍いい…なんて思ってしまう。
おかしいな…奏だって似たようなタイプのはずなのに!
「失礼します」
男性を残して、奏との待ち合わせ場所に向かった。
この時は、後をつけられているなんて思っていなかったけど…
よく待ち合わせ場所に使われる駅前の噴水広場前に、奏がいる。