大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「そうだ」
「へー、女に不自由してないって顔してる。君って1人の女で満足できないタイプだよね…伊東さん苦労するよ」
なんだか奏をバカにされているようでムカついてきた。
「前はそうだったわよ。だけど、今はこの人は私に夢中なの。浮気なんてしないし、させないからご心配なく」
隣でア然としていた奏が、笑いだした。
「俺は彼女に骨抜きにされてるから、他の女を抱く気力もないよ」
私の肩を抱き、クスクスと笑いながら男を見る奏に、男性は怒りに顔を真っ赤にさせて捨てゼリフを言う。
「バカバカしい…勝手にやってろ。ちょっと綺麗になったから興味本意で声かけただけだから、勘違いするなよ」
プライドが高いと大変ですね…
「私、綺麗になった?」
「そりゃ、俺のおかげでしょう!」
人を平気で傷つけるこういう奴は、とことんプライドを傷つけたくなる。
公衆の面前でプライドを傷つけられてワナワナと震えている。
「本当の恋を知らないってかわいそうな奴だなぁ。まぁ、俺もこいつに出会えたから知ったけど!お前にも本当の相手が見つかるといいな」
なんなんだ?
そんな事言ってやる必要ないのに…
「お前って…いい奴だな」
「頑張れよ」