大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
菜生を追いつめ逃げ道がなくなると、彼女は戸惑いと恥じらいを見せ、無意識に誘う。
その姿に欲情し上唇を舐めた俺は、ネクタイを放り投げ、着ていた上着もその場に脱ぎ捨て、彼女の誘う唇にキスをしながら自分のシャツのボタンを外していたら、せっかちな俺をジッと見ている菜生に恥ずかしくなる。
「脱がないの?それとも俺に脱がされたいのか?」
揶揄って照れを隠したが、自覚した初めての夜だから、彼女を大事に抱きたい。
だから…やっぱり
「俺に脱がさせて…」
ゆっくりと時間をかけて菜生を抱いたのは、はじめてかもしれない。
その日を境に、俺は頻繁に菜生の部屋に帰っていく。
その理由は、少しの時間でも彼女と過ごしたいからなのだが、菜生は違うらしい。
今日も、向かう先は彼女のいる場所。
呼び鈴を鳴らして、彼女がドアを開けるとぎゅっと抱きついて首元に顔を埋める。
「菜生、疲れたよ。癒して…」
自覚してしまうと、自分でも呆れるぐらい菜生にべったりだ。
女に甘えるなんて俺らしくないと自笑しながらも、甘えてしまうのは…俺を抱きしめて頭を撫でてくれる優しい手。
そして…
「菜生のこの匂いに癒される」