大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
素直になるのは難しい
私の狭いベッドで、奏に抱きしめられて寝ている
私は、奏の首元に頭を埋め抱きついている。
お互いに抱きつきて寝にくい態勢なのに、そうせずにはいられない。
お互いを必要とする抱き枕だから…
奏を好きだと自覚すると、この腕の中でつい甘えたくなり、目の前の胸に頬ずりして擦り寄る。
もっと、もっと…温もりを感じたくて…
「動くなよ。髪の毛がくすぐったい」
そう言って、ぎゅっと抱きしめてくれる。
「…苦しいって」
嬉しいのに、まだ今は素直になれない。
「寒いんだから、もっとくっついてろ」
秋とはいえ、まだそこまで寒くは感じないが、そう言われると素直にくっつく事ができる。
「そうだね…奏とくっついてると暖かいから好き」
直接、奏が好きだとはまだ言えないのは、奏も好きだと言ってくれないから!
「俺も、お前とくっついて寝るの好き」
ほら、遠回しな言い方しかしてくれない。
この間の奏と健さんの会話で、「俺以外の男が彼氏なんて認めない」と言ってくれたから、今はそれでいいと思っている。
好きだと言わなくても、お互いの気持ちがわかった今は、曖昧に誤魔化す必要はなくなった。
いろいろな言葉の後に、奏と○○する好きと伝えればいいのだから…