大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

楽しそうな鼻歌が聞こえ眼が覚めきた。

台所で、朝食の準備をしながら鼻歌とともにリズムに合わせて顔を揺らし楽しそうにしてる姿を、しばらく肘をついてベッドで横になりながらその様子を眺めていた。

以前も思ったが、心が和む…というか、幸せだなと感じる。

まだ、家庭を持ちたいなんて考えてもいなかった俺が、菜生といる未来を想像してしまうぐらい…

台所に立つ彼女の背後から抱きしめると鼻歌に夢中になっていて俺の気配に気がつかなかったらしく体全体で驚いている。

「驚かさないで」

睨んでくるが愛しくてたまらないのだから仕方ない。キスをしてご機嫌をとるつもりが、弾力のある唇に朝から男の性というのか、発情してその場で抱いてしまった。

後で、朝から信じられないと散々怒られたが、それは彼女の恥ずかしさの裏返しで、本当に怒っているわけじゃない。

だから、こうして今は俺の足の間に座り一緒にテレビを見ている。

すると、俺のスマホに健からのメール。

「健から連絡きた。今度の日曜に遊びに来ないかって言うけど、お前どう?」

「うん…いいよ」

「本当に大丈夫か?」

間をとって頷く菜生に少しの不安がよぎる。彼女の心がまだ吹っ切れてなかったら…
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