大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「揶揄って悪かったよ。お前に、泣かれたり拗ねられたりすると焦る。なぁ、機嫌直せよ」
「いーだ」
こっちは謝っているのに、その態度にムッとなる。…素直になれない彼女が戻って来たらしい。
そして、子供かよっとおかしくもなる。
「生意気…」
素直になれない菜生の顔を両手で掴んでチュッチュと軽くキスして、最後はしっとりと甘く唇を食んでキスをやめたのは、仲直りをする機会を作るため。
物足りないぐらいがちょうどいい。
菜生は上目遣いで唇を尖らせ、キスの続きをねだるその唇を指で突っつく。
「尖ってるぞ」
「だって…」
「だって、なんだよ?」
「うっ…」
キスを続けたいのは俺も同じ…
だけど、寝たふりをしないと素直に言葉をくれないし、甘えてもきてくれない素直じゃない彼女には少しだけ苛立ったりもする。
言葉で言えないなら、態度だけでも素直になってもらいたいと思うのは、わがままだろうか?
彼女は前屈みになり俺の胸辺りをシャツを掴んで近づくが、まだ唇には遠い。
唇を強く閉じたり、戻したりと菜生なりに頑張っているが、素直にキスの続きをねだることができないでいる。
仕方ないから、菜生からキスしやすいように俺は唇を突き出してキスの催促をした。