大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「するわけないじゃん…バカ」
突き出した唇を彼女の手のひらが塞いだ。
残念…まだまだ素直な態度も見せてもらえない。
俺からキスすればいいのだが、ここまできたら引き下がれない。なんとしても、彼女からキスしてほしいから、その手首を掴んで彼女の目を見ながら指一本一本にキスをして誘う。
恥ずかしがる菜生を誘惑している途中、彼女のスマホにメールが…邪魔する奴は誰だ⁈
メールを打つ菜生の表情から、智奈美ちゃん辺りかと尋ねたらビンゴだった。
この甘い雰囲気の中、俺は智奈美ちゃんに負けたのが悔しくて、菜生からスマホを取り上げて手の届かない場所にスマホを滑らせ、文句を言う菜生を持ち上げた俺は、胡座をかいた上から彼女を跨がせて見上げた。
「そんなの後で返信すればいい。今は、こっちに集中して」
甘い雰囲気を漂わせているのに、返信を気にして集中してくれない。
キスしたくないのかよ…
「ななせ…あんなキスで物足りなくないのか?」
「ずるい…わかってるくせにそんな言い方しないでよ」
スマホなんか後にして俺を見て…
「俺は物足りない…だからもっとキスしようぜ」
素直になれないなら、はっきり誘うしかない。