大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
大人の恋は複雑に絡む
智奈美夫婦の家は、街から離れた住宅街の中にある。
約束の時間は、お昼前となっていたので11時頃に着くように奏とやってきた。
「確かこの辺りなんだけどな?」
「白い建物って言ってたけど…あっ、あのコンクリの家かなぁ⁈」
「あれか!」
奏に手を繋がれて、その建物を目指した。
表札の名前は、近藤になっている事を確かめてインターホンを鳴らした。
「はーい」
「智奈美?」
「菜生、待ってたよ。入って入って」
ガチャンと門扉のロッがの開き、庭を抜けて玄関前まで歩いていくと、玄関前では健さんが渋い顔をして待っていた。
「おっ、主人自らお出迎えか…」
健さんを茶化す奏に、健さんの反応はなかった。
「健さん、ご招待ありがとうございます」
「…うん、菜生ちゃん来てくれて嬉しいよ。智奈美が待ってるから入って…」
「はい、お邪魔します」
「どーぞ、あっ、智奈美の知り合いも先に来てるけど、遠慮なく堂々としていていいからね」
ん⁈
何か含んだ言い方に首を傾げたが、智奈美が私を呼ぶ声に返事を返し、深く考えなかった。
「奏に、ちょっと話があるから先に入っていて」
そう言われ、私だけ家の中に入ると、智奈美からの熱烈な歓迎のハグが待っていた。