大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「菜生、会いたかったよ」

「私も、…なかなか連絡できなくてごめんね」

「ううん、気にしないで…こうして来てくれたもん。嬉しいよ。さぁ、入って」

手招きされ、智奈美に手を繋がれて廊下を歩いていると、なんだか懐かしい気持ちになる。

健さんがいても女同士2人でよく、手を繋いでいたな…

彼氏として、きっと面白くなかっただろうと、今になって思う。

だから、ライバル宣言されたのか…

うふふふ…やっと、今、理解して思わず笑ってしまう。

「何、なんで笑うの?」

「昔から、智奈美とこうして手を繋いでいたでしょ」

「うん、癖だよね」

「健さんがいても智奈美は、私と手を繋ぐから健さんは彼氏として面白くなかったと思うの」

「そうかな…いつもニコニコしてたよ」

「その裏で、私にライバル宣言してたんだよ。つい、その事を思い出して笑っちゃった」

「そうなの?知らなかった」

「これから手を繋ぐのは、健さんだけにしなよ」

「わかった…菜生にも大事な人ができたみたいだしね」

私と繋いでいた手を持ち上げ、薬指にある指輪を見てニンマリする智奈美。

「Eternalのだね…菜生、相手は誰か後で詳しく教えてね」
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