大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「えぇ、智奈美さんお話上手でとても楽しいんですもの。お料理教室以外でも、ご飯に行ったりと仲良くさせて頂いてます。今、とても仲良しなんですよ」
なんとなく気に入らない。
智奈美の知り合いだから我慢するけど、この人とは仲良くなれそうな気がしないのだ。
「今日もね、菜生達を招待してお料理を振る舞いたいってメニューを相談してたら、こうして心配して手伝いに来てくれて助かっちゃた」
えへっ、て笑う智奈美が、彼女を信用している様子に複雑な心境だった。
「作ったのは智奈美さんで、私はアドバイスしただけですわ」
「おかげで菜生に美味しい物を出せるし、結衣さんは、私に料理のアドバイスをする口実に奏くんに会えるしね」
さっきから、智奈美は結衣さんと奏になんか関係があるように匂わせる。
恥ずかしそうに頬を染め頬を両手で隠す結衣さんに、智奈美は更に揶揄う。
「結衣さんたら照れちゃって可愛いよね。私達の結婚式がきっかけなんだって」
やっぱり、気のせいじゃない。
「智奈美、結衣さんと奏って…」
「あっ、そうだね。菜生に言ってなかったけど、結衣さんと奏付き合ってるんだよ。驚きだよね」
…そんなはず、ないと薬指の指輪を見てしまう。