大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「えぇ、智奈美さんお話上手でとても楽しいんですもの。お料理教室以外でも、ご飯に行ったりと仲良くさせて頂いてます。今、とても仲良しなんですよ」

なんとなく気に入らない。
智奈美の知り合いだから我慢するけど、この人とは仲良くなれそうな気がしないのだ。

「今日もね、菜生達を招待してお料理を振る舞いたいってメニューを相談してたら、こうして心配して手伝いに来てくれて助かっちゃた」

えへっ、て笑う智奈美が、彼女を信用している様子に複雑な心境だった。

「作ったのは智奈美さんで、私はアドバイスしただけですわ」

「おかげで菜生に美味しい物を出せるし、結衣さんは、私に料理のアドバイスをする口実に奏くんに会えるしね」

さっきから、智奈美は結衣さんと奏になんか関係があるように匂わせる。

恥ずかしそうに頬を染め頬を両手で隠す結衣さんに、智奈美は更に揶揄う。

「結衣さんたら照れちゃって可愛いよね。私達の結婚式がきっかけなんだって」

やっぱり、気のせいじゃない。

「智奈美、結衣さんと奏って…」

「あっ、そうだね。菜生に言ってなかったけど、結衣さんと奏付き合ってるんだよ。驚きだよね」

…そんなはず、ないと薬指の指輪を見てしまう。
< 174 / 211 >

この作品をシェア

pagetop