大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「ななせ…愛してる。そばにお前のいない人生なんて考えられない俺をこんな風にさせた責任とって結婚してくれよ」

突然の愛の告白は、プロポーズに変わる。

感極まって溢れ出る涙が止まらない。

頬を流れる涙を、何度も奏の唇がキスですくい取っていく。

「…返事は?」

うわずった掠れた声は緊張しているからだろうか?

「私の気持ちは聞かないの?」

初めて気持ちを伝えてくれた奏だけど、肝心の私の気持ちを置き去りのまま。

「さっきのキスが答えだろ」

そうだけど、言わせてよ。

「聞きたくないなら、一生言わない」

「一生って…お前、それプロポーズの返事?」

「あげ足取らないでよ。話にならない」

囲う腕の中で暴れた私をぎゅっと抱きしめて、余裕を取り戻し笑っている男が腹立たしい。

「悪かった。お前の気持ち聞かせて」

改まって言われると素直になれない私を見透かしたように、顔中にキスをする奏に柔軟させられる。

そして、唇には触れてくれないもどかしさだけを残されていく。

「…奏」

「んっ…」

鼻先を擦り合わせ待ちわびている奏に

「愛してる…」

「知ってる…そろそろキスしていい?」

「うん」

待ちわびた唇に、誓いの言葉と共にキスが落ちた。

幸せにする…
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