大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
奏side 複雑に絡んだ恋が解ける時
健と智奈美ちゃんの新居に着いた早々に、出迎えに出てきた男の表情は険しかった。
「どーぞ、あっ、智奈美の知り合いも先に来てるけど、遠慮なく堂々としていていいからね」
菜生に笑顔を向けながらも、表情はどこか硬い。
「奏に、ちょっと話があるから先に入っていて」
菜生が智奈美ちゃんと抱き合い中に入っていく様子を確認した後、強張った顔を向け顔で向こうへ行こうと指図される。
「なんだよ」
「お前、西園寺 結衣って女と付き合ってるのか?」
「ハァッ?付き合っていないけど…俺の気持ちお前も知ってるだろ」
健からの聞きたくもない女の名前と、予想外の確認に苛立ち声を荒げた。
「そう怒るな…ちょっとまずい事になってる」
「何んだよ?」
「今日、ちなの知り合いで来てるんだ」
さっき菜生に言っていた知り合いが西園寺 結衣なのか!
「その西園寺 結衣が…お前の彼女だとちなに話したら、ちながサプライズだと言って驚かそうと招待したらしい。お前達が来るのを知りながら堂々と今日来ている」
「おい、なんだよ、それ」
「こっちが聞きたいよ。菜生ちゃんとお前、どうなってるんだ?」
「それは…上手くいっているとは言えないな…問題発生して、お前に相談しようと思ってた」