大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「なんだ、その問題発生って?」
「俺がらみ」
「はあっ、なら、自業自得じゃないのか!」
「俺だけの問題なら相談なんてしない」
俺に向ける健の冷たい視線に、苦笑いしてしまう。
「…お前達の結婚式で女に声かけられて、電話番号と名前を書いた紙をその場で手渡されてさ、登録するまで俺から離れないんだぞ。そんな女なんて、気持ち悪くて忘れててたぐらいだった」
「おい、まさか…その女って」
「そのまさかの、西園寺 結衣」
「菜生ちゃんもいたのに、他の女口説くな」
「口説いてない。向こうからだって言ってるだろ…菜生いるのに、他の女なんて目に入るか」
「それがどうして?」
「まぁ、菜生にヤキモチやいてほしくて、一度会った」
「…バカか!」
「だよな…それから会社で待ち伏せされたりとかいろいろ…相手にしなければ諦めるとたかをくくっていたら、菜生に」
「見た感じ、お前が遊びで相手にしてきた女と違うってわかるだろ」
言われなくててもわかってた。
「一回ぐらい会うだけならって安易に考えてた」
「まさか、手を出して本気になられたパターン?」
「菜生を抱いた後で、他の女なんて抱けるか!もう、あいつ以外抱けない」