大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

話の通じない相手をどう、やり込めようかと思案している腕の中で、菜生が離してと暴れる。

「離すかよ…俺とこの女の言ってる事と、どっちを信じるんだ?」

何かグダグダと言って、結衣って女の話を鵜呑みにした菜生がヤキモチを妬いてくれる事が嬉しくもなるが、今は誤解を解かないとと、腰を屈めて視線を合わせ見つめた。

「落ち着け…俺が女にだらしなかったのは認める。飯を食いに行った事も事実だ。そのせいで変に期待させてしまったのは俺が悪い。教えてもいないのに会社前で待ち伏せられてたり、マンション前にも来られて迷惑してたのに、そのうち諦めるだろうと相手にせずに放置していた」

「…あ、私、が…私が結衣さんの話を鵜呑みにして、…ごめんなさい」

どうやら、俺の個人情報は智奈美ちゃんから漏れていたらしい。

やばい女だとうすうす気づいていたのに、放置していた俺が悪いし、頭を下げる健と智奈美ちゃんを責める資格は俺にはない。

突然…

「奏さんに指輪なんか買ってもらって浮かれているようですけど呆れてしまうわ。奏さんも遊びはほどほどになさって、現実を見てください」

話が通じない女

この女、頭がおかしいのか?
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