大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「…奏」
「んっ…」
鼻先を擦り合わせ待ちわびる
「愛してる…」
耳まで真っ赤にして見つめてくる菜生、恥ずかしさからか目を潤ませ、乾いた唇を舐める仕草に欲情せずにはいられない。
「知ってる…そろそろキスしていい?」
「うん」
小さな唇に、誓いの言葉と共にキスをする。
幸せにする…
そして、彼女を横抱きに抱えた俺の向かう先に、菜生は照れ臭そうに俺の首元に顔を埋め小さな声で囁いた。
「お手柔らかにお願いします」
やっと思いが通じたというのに、手加減なんてできるわけがない。
「寝かせないからそのつもりで抱かれろよ」
「…無理っ…」
うるさい唇をキスで塞ぎ、ベッドに直行。
本当に寝かせるつもりはなかったが、何度も抱いたせいで疲れ果て、深い眠りについてしまった菜生の頬を指先でなぞる。
勢いで俺に抱かれた彼女の心が別の場所にあった数ヶ月前、俺はそれでもいいと思っていた。
それが今は、心も体も俺の元にある。
何度も見た愛しい女の寝顔を見つめ、今日ほど俺は幸せだと思った事はない。
愛してる
好きだ
言えなかった言葉が溢れてくる。
これからは朝、夕、関係なく愛の言葉を伝えよう…