大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「まぁ、夢見るのは自由ですけど…友達が挙式したウエディングリゾート・ララシャンは良かったですよ。森林に囲まれた大きな敷地内に教会、披露宴会場に、庭園で披露宴もできるし、あっ、小川も流れてました」
「目についたのはそこだけとは…私は、出会いがあったか聞きたかったんだけどね」
出会いね…出席した親友の旦那さんに片思いしていたことは彼女は知らない。
その片思いをしていた新郎の親友と寝てしまったなんて知られたら、根掘り葉掘り聞かれそうだ。
「…出会いなんてなかったですよ。声をかけてきた男性は、新郎の親友ぐらいで…」
奏の顔がちらついた。
「その彼とこれをきっかけにとかないの?」
「まさか…絶対ないです。一番嫌いなタイプですよ、ありえない。女なんて、来るもの拒まずに、次々と取っ替え引っ替えしてる男ですよ。サイテーですよ」
隣を歩く優希さんに力強く否定した。
「ふふふ、そんなに、力説しなくてもいいのに」
「いいえ、あの男の犠牲者は1人でも少ない方がいいんです。優希さんも気をつけてくださいね」
クスクスと笑う優希さんの横で、私は必死になっていた。
「犠牲者って…誰だかも知らないのに!あっそうそう、犠牲者って言えば昨日ね、うちの甥っ子が
ね…」