大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
どうして彼の隣は私じゃないんだろう?
智奈美より私が先に出会っていたら、彼の隣は私だったかもしれないのに…
仲のいい2人を見ていて別れてしまえばいいとさえ、思ってしまった。
3人で会う度に、親友の幸せを妬む自分が嫌で、なるべく3人にならないように避けるようになった私を、気を使っていると勘違いした健さんは、1人の友人を連れてきた。
それが、斉藤 奏だった。
「毎回、女同士のデートを邪魔してごめんね。でも、俺、菜生ちゃんには悪いけど、ちなとの時間を過ごすライバルだと思っているからね。もちろん、菜生ちゃんとちなの邪魔もしたくないんだよね。そこで、ダブルデートならちなを挟んで取り合いにならないかなって、俺の友人の奏を連れてきたから、仲良くしてね」
この時、ちなを溺愛するあまり彼女への執着が垣間見え、彼女の親友にライバル宣言する辺り、この恋に見込みがないと諦めたが、思っているだけならいいだろうと思うようになった。
奏は、会った早々私の気持ちに気がつき、「親友の男を好きになるなんてバカな奴」と鼻先で笑われ、見た目よくても好意を持てなかった。
健さんがアイドル顔なら、奏は俳優になってもいいぐらいのイケメン顔。