大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

顔はよくても性格が最悪。

4人でいても、彼の存在は無視していた。

ある日、2人から結婚すると聞いた時、とうとうこの恋も潮時だと2人を祝福した夜、散々1人で泣いた。

だから、今日のこの日、心から祝福できる。
そう思っていたけど、まだ心は痛む。

人目を気にせず、新婦にキスする新郎。

彼の選んだのは彼女だと目の当たりにさせられて、祝福したいのに心は複雑で、遠くから見ているだけだった。

「ななせ…受け取って」

遠くにいる私に向かって投げられるブーケを咄嗟にキャッチした。

「次は菜生の番だよ」

にこやかに手を振る智奈美に、無理して笑顔向けた。

彼女は、私の気持ちなんて知らない。

幸せいっぱいの2人に向かって

「お幸せに…」

私の恋は、終わった。

披露宴は、式場内にある庭園で行われた。

晴れて暑くもなく寒くもない丁度いい気温。

立食パーティーだから、皆あちらこちらでかたまり、談笑中。

新郎は隙を見つけては、新婦の顔にキスをしている。

その度に、頬を染め辺りを気にする智奈美が微笑ましかった。

ここまでの、熱々ぶりを見せつけられ、かなわない恋だったのだと実感させられる。
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