大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
あーなんなの…わけのわからない感情。
もう…シャワー浴びて、さっぱりしよう!
浴室から出て来ても、奏はシャワーを浴びる前のままで、面倒くさそうに話し中。
そんな顔するなら、切ればいいのに…と思いながら、冷蔵庫から冷たい水の入ったペットボトルを出して飲んでいれば、ジェスチャーで俺もという。
口で言えばいいのに…
電話口のゆいさんに聞かれたくないからか⁈なんて、一人で納得する。
ふん…と鼻を鳴らし、冷蔵庫から新しい水のペットボトルを奏に向かってポイと投げた。
見事にキャッチして、唇だけで『サンキュー』という仕草に、モヤっとしたまま遅い昼食を作ることにする。
食パンがあったので、スクランブルエッグとほうれん草とベーコンを炒め、少し塩コショウを振り、ホットサンドメーカーで挟めばホットサンドの出来上がり。
「なら、後で」
ふーん…聞こえないふりをして、サンドイッチを半分に切っていると、奏が全裸で立っていて驚いた。
「ちょっと、下隠しなさいよ」
「いまさらだろ…シャワー貸して」
「…いいけど」
隠す気はないらしく、そのまま浴室へと行ったはずの奏が側にいる。
「俺の分もある?」
「…あるよ」
「マジ…すぐに出てくるから一緒に食べようぜ」