大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
新しい恋なんて当分の間は無理だけど、いつか2人を見ても心から祝福できるようになりたいと思う。
まだ、心はチクチクと痛むけど、そのうち感じなくなればいい…
そんな思いが顔に出ていたのか…いつのまにか隣にいた男が話しかけてきた。
「何見てんだ?」
「なんだっていいでしょう!」
「相変わらず、可愛くないな」
「可愛くなくて結構、あんたにこれっぽっちも媚び売るつもりないので、ほっといて」
「ふっ、俺にそんなこと言うのお前ぐらいだよ」
「あら、それは失礼しました。おモテになるあなたにはショックだったかしら?」
「まさか、楽しいよ。媚び売って色目使う女より断然お前の方がいい」
「やめて…そんなこと言っても何も出ないわよ」
「健の前だと可愛いかったのに…奪ってやろうと思わなかったのか?」
「突然、何?」
イライラしてきて、手に持つグラスの中のシャンパンを一気に揉み干した。
「俺なら、ライバルが親友だろうが好きなら奪うね」
「…私は、あんたみたいに非常識な人間じゃないの常識があるの。一緒にしないで…それに、見ていてわかるでしょう!健さんの目には智奈美しか映っていない。私のことなんて彼女の親友じゃなくてライバル扱いなんだから」