大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「クッ、あははは、は…マジかよ。残念な女だな。こんなにいい女なのに、好きな男に女として見てもらえずライバルなんて…笑える」
「笑いたければ笑えばいいわよ。私は、今日で片思いを卒業するんだから」
「へー」
バカにした頷きにイライラがマックス。
テーブルの上のシャンパンの瓶を手酌酒で何度も煽る。
「おい、飲み過ぎだろ。お前、強くないくせに」
「うるさい。あんたなんか嫌い。あっち行ってよ」
「はいはい、わかったから、その手に持ってるシャンパンかせ。代わりにこれ飲んでおけ」
渡された、スパークリングウォーター。
「美味しくない」
バシッと脇腹に軽く拳を入れた。
「うるさい、てか、殴るな」
痛がる奏を見て「きゃはは」と笑っている時点で酔っていた。
普段の私なら、きっと殴っていない。
殴っていたとしても、笑わずに『ざまーみろ』と舌を出していたはずだ。
式が終わって二次会会場のダイニングバーでは、早々に新婦新婦はハネムーンに向かって行った。
祝福モードから一気にただの飲み会。
カウンターで、1人でまたビールを飲んでいたら隣に腰掛ける奏。
「ひとり酒かよ。さみしい奴だな」