大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい

「うるさいな…ほっといてってば」

「お前が別に酔っ払って潰れても、俺はどうでもいいんだけど、智奈美ちゃんに頼まれたから仕方なく気にしてやってるんだけど」

「えっ、まさか…あんた智奈美が好きだったの?」

「どうしてそうなる⁈この酔っ払い」

頬を軽く抓られる。

「痛いな」

「酔って変な男にお持ち帰りされないように心配してるんだろう」

「あーなるほど。それでもいいかも!そうしたら忘れられるかなぁ?」

「忘れられるわけないだろう!馬鹿が…」

ムカッー

「わかんないじゃない」

「好きでもない男に抱かれられるのか?」

「うーん……飲み足りない。もっと飲んでベロベロに酔ったら誰かお持ち帰りしてくれるかな?きっと、意識無くしてたらできるわよ」

「そこまでして、ほかの男で紛らわせたいのか?」

「そう!このチクチクしてモヤッとする気持ちが吹き飛ぶなら、誰でもいいから慰めてほしい」

「誰でもいいのか?」

「…うん」

頷いた私の手を、ぎゅっと握る手に視線を向けてから、男の顔を見た。

端正な顔、女から見ても綺麗な肌。お酒で少し潤んだ瞳が色っぽい。

「奏って、かっこいいんだね」
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