大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
「奏が行かないなら、菜生ちゃんは誰の獲物になるんだろうな?」
「ハァッ、菜生がいるなんて聞いてないぞ」
「言わなかったか?まぁ、行かないお前に関係ない話か!」
ニヤッと笑う臣は、俺をいたぶって楽しんでいる。
男にも容赦ない、やなやつだ…
「行く、行くに決まってる」
まだ、健に心を残している菜生を、あいつらと2人きりになんてさせたら、糸を張って待ち構えている蜘蛛に自ら飛び込んで行く獲物と同じだ。また、あの日のように投げやりになって男を誘うかもしれない。
そんな事、させてたまるか…
この感情が、一体なんなのかなんてまだわかっていなかった。
合コン当日
臣は、女性陣が来る前に、優希ちゃんは自分のものだからと石黒と湯川に牽制したが、気に入れば手を引くような奴らじゃない。
それでも、そう言わずにいられなかった臣。
あいつの中で、何か変わり始めてるのかもしれない。
女性陣達が待ち合わせの店にやってきた。
俺を見た瞬間、菜生が驚きの表情を浮かべ目を逸らしたのが気にくわない。
俺がいちゃ、ダメだったのかよ!
男女向かい合わせで座ったテーブル席でも、菜生と優希ちゃんは俺らから離れて座った。