大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
その直後、優希ちゃんが内庭に入ってきて、その後を臣が追いかけて彼女の腕を掴んだ瞬間、喫煙所にいる俺に気がついた臣は、苦い表情を見せてから、内庭の奥へと優希ちゃんを連れて行った。
へー、我慢出来ずに追いかけてきたのか。
上手く行きそうな奥の2人を羨ましく見ていたら菜生が入ってきた。俺がまるで驚かしたかのように憤慨し怒る勢いでいる。
その口を押さえ、静かにしろと自分の口の前で人差し指を立て黙らせた後、菜生の気をひけたのは一瞬だった。
優希ちゃんが心配らしく、俺との会話は彼女の話ばかりで、イライラとしてくる。
もっと別の話しはないのか?
目の前に俺がいるのに、会えない間どうしてたか気にならないのか?
気にもならないのか?
短くなったタバコを灰皿に何度も押しつけて、発散をした。
お互いの温度差を感じていた時、臣が優希ちゃんを抱きしめ、奴なりの告白めいたセリフの後のキスシーンを見た菜生は、顔を真っ赤にして彼らに背を向け火照る顔を手のひらで扇いでいる。
見たと言うより、見せつけられたと言った方が正しいだろう。
やってくれる…
俺も負けていられない気がして、菜生の腕を取りキスをする。
最初、抵抗する菜生だったが、次第に深くなるキスに夢中になってくれる。