大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
曖昧なままで
やばい…ドキドキする。
奏なのに…何言ってるの⁈
私を跨ぎ、ネクタイを緩める姿にときめいているなんて、酔ってるせいだ。
絶対、そうに違いない。
さっきから、奏にドキドキさせられっぱなしで、おかしい!
帰る奏を引き止めるなんて、どうかしてる。
『キスの続きは…後でって言ったじゃない!してくれないの?』
なんて事を言ってしまったんだろう…
背後の床に手のひらをついた逃げ腰の私に、顔を近づける奏を男として意識してしまう。
暗がりでもわかる、目に宿る欲情。
髪をかきあげる仕草が艶めかしく、息を飲んでいた。
どうして、こんなにドキドキするの?
奏となんて初めてじゃないのに…
1人の男として意識している。
私以外、もう抱かないなんてウソだよね⁈
唇に触れるか触れない距離で奏の息がかかり、ゾクッと甘い疼きが体中を走っていく。
「ななせ…」
そんな甘く掠れた声で呼ばないでよ。
「キスしていいか?」
「…バカ、散々許可なくキスしてきたくせに、聞かないでよ」
「だよな…緊張してる」
ほらっていう風に、私の手を掴み奏の心臓のある場所に導いた。
鼓動が速い…
なんだろう?奏が可愛く見える。
「許可してあげるから、優しく抱いて」