大人の恋は複雑で…素直になるのは難しい
承諾はキスで塞がれ、触れるだけのキスから噛みつくようなキスで戯れながらゆっくりと一枚一枚服は脱がされていく。
時間をかけて脱がされるあまりの恥ずかしさに、なんの羞恥プレイなのかと思ったりもする。
焦らされて焦らされて、やっと抱かれた時のなんとも言えない感情…
この気持ちは…認めたくない気がする。
奏だよ!
私以外の女はもう抱かないなんてウソに決まってる。
くるもの拒まず去る者追わずの男に、気持ちが傾いているなんて、流されて勘違いしているだけに違いない。
私の心には、まだ健さんがいるのだから…
ベッドを占領して私を抱きしめているこの男に、恋しているなんて、ありえない。
そう思うのに、この肌の温もりは手放したくないと思っているなんて、どうかしている。
こんな関係、いつまでも続かないのに…
だが、その日を境に奏は私の家に入り浸り出した。
当たり前のように、会社帰りにここに戻ってくる。
ピンポーン…
ドアを開けるとぎゅっと抱きついて来て、首元に顔を埋める。
「菜生、疲れたよ。癒して…」
毎回、なんだこの甘えたはと思っている。
でも、それが嬉しいと思って頭をよしよしと撫でるのも私だ。
「菜生のこの匂いに癒される」