恋の始まりの物語
きちんと正座をする透。
その横に、同じく正座をしたまりあが寄り添った。

……まさか。

「俺たち、結婚することになりましたっ!」

ニコニコ笑って報告をしてくれる二人。

チラッと湯川の顔を伺うと、…鉄壁の笑顔。
……無理しちゃって。

「おお、良かったなー!やっとかよ」

本当に喜んでいるかのような声で。
凄い演技力。

勿論疑ってもない透は、無邪気に笑う。

「まりあがやっとオッケーしてくれたんだよ!
山本!お前も結婚焦ろよ~いい年だぞ~!」

「よけーなお世話だっ!」

本気で殴ってもいい?とまりあに視線で尋ねる。
ごめんやめてね壊れる、と目線で返される。

ふ、と息をついて、ニッコリと笑って、まりあを向いて言う。

「相手が透っていうのが不安だけど、おめでとうまりあ。幸せになんなよ」

「ありがとう、みっちゃん。」

これぞ『幸せの絶頂』というようなまりあの微笑みに、私がやられそうだ。可愛すぎる。

「…まりあ、透なんかやめて、私の嫁になんない?」

「おいおい!!そこ!!なに誘惑してんだよ!!
お前男前だから、シャレになんねー!!」

透の素早い突っ込みに、皆で笑う。
そうそう、私の印象ってそんなところだ。

『男のよう』『豪快』『男前』

それが、私に対する褒め言葉。
──間違っても、『可愛い』なんて言われたことがない。
< 11 / 43 >

この作品をシェア

pagetop