恋の始まりの物語
ひとしきりお祝いを言った後、何故か話題は私へ。

「山本お前、彼氏とかいたことあんの?」

失礼な透は、どこまでも失礼だ。

「…あるよ。大学の時と5年くらい前?」

「まじか!」

本気で驚いてる。
失礼なやつめ!

「どのくらいの付き合い?1週間?1ヶ月?」

掘り下げるのかよ。
まあ、おめでたい席だし、いいか。
別に大した話はない。

「失礼だね、これでも付き合うと一途なんだよ!
3年と1年かな。どっちも遠距離になって終了~」

グビッと、柚子チューハイを飲む。
ふと湯川と目が合う。
驚いてるのかと思いきや…なんだこの眸…。
怒ってんの?

ああ、湯川のことは散々聞いておいて、自分のことは言わなかったから、かな。
後で謝っとこ。
一人で納得していると、唐突に湯川が聞いてきた。

「…誰?最近のやつ。会社関係?」

突っ込むなぁ。
まあいい、お詫びに答えてやろ。

「M社の工藤さん。もう時効だし、こっちにいないからいいよね。」
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