恋の始まりの物語
なんで…何で。
混乱する私に、湯川は更に畳み掛ける。

「俺が、だいぶ前からお前のこと好きだったって、分かってくれた?

だからまりあのことは、断る理由にならないぞ。

新しく好きな人を見つけろって言ったのは、お前だ。
協力してくれるんだろ。

俺は、見つけた。
協力してくれ。」

強い眸だ。
強い決意を感じる。

「もう、遠慮しない。
俺を男として見てもらう。

居心地いい関係を壊しても、お前が欲しい。
──美玲。」

名前を呼ばれて、ビクッと肩が跳ねた。

顔が朱に染まるのが分かる。
とてつもなく、頬が熱い。

固まっていると、そっと湯川の胸に抱き寄せられた。
慌てて手を突っ張ろうと力を入れたが、もう逃れることはできなかった。

「美玲、すきだ。
ずっと前から好きなんだ。

俺のものになってよ。」

耳元で、甘い声。
いや、こんな風にされるようなキャラじゃないよ私。
枯れ女だし男前だし。
それも、相手はイケメンだ。

──わかった。湯川は、失恋して混乱して勘違いしてるに違いない!
間違いは正してやらないと!
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