恋の始まりの物語
「ちょっと待って湯川。
あんた今混乱中なんだって!
まりあの結婚がショックで、ちょっとあり得ない方に勘違いしてるんだって!
落ち着け!!」

背中を軽くポンポン叩きながら、叫んだ。
額が胸についていたのを、ごそごそ動かして湯川を見上げる。

湯川の右手は私の肩を、左手は私の腰をがっちりホールド。逃がさないという意志が伺える。

それでも何とかしようと、顔を上げたのだ。

そこに落とされたのは、湯川の唇。

額に、少し涙の滲む目尻に、頬に。

「─ちょ……」

私が更に何か言う前に、唇が湯川のそれで塞がれる。
何度も角度を変えて啄む。
久々のその感触に息がうまくできず、息継ぎのため少し唇を開いたところで、熱い舌がねじ込まれる。

蕩けるようなキス。少し乱暴で、でも、どれだけ私を欲しがってるのか、分かってしまうような。

……だから、受け入れてしまった。
舌を探し当てられ、強く絡められると、もう拒否なんてできなかった。

どのくらい、唇を重ねていたのだろう。
完全に力の抜けてしまった私を、湯川はソファに押し倒した。

「…ごめん、美玲。
キスで流されてるのは分かってるけど、俺のものにする。

もう、離したくない。」

力の抜けた私の体は、次の行為を受け入れてしまっていて。頷きもしないけど、拒否もしない。
肯定と受け取った湯川は、手と唇を進めて、私の敏感なところを探り当て、潤していく。

そうして、二人してソファで、寝室で。
何度も何度も、果てた。
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