恋の始まりの物語
半年くらいしてまた同期会があり、山本と席が隣になった。

「仕事落ち着いたから、また話聞けるよ」

ちょっと疲れた感じで、彼女は言った。

──今にして思えば、おそらく、工藤さんの浮気を知ったか、別れた頃。

その笑顔が儚くて、知らず手が上がる。

テーブルの上に来たところで、はっとして机にその手を置いた。

──今、俺、何をしようとした?

髪を撫でようとしたのか。
頬に触れようとしたのか。

───抱き締めようとしたのか。
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