恋の始まりの物語
──でも、相手は手強いぞ。

風呂に入って気持ちを落ち着かせ、ベッドに倒れ込んでから。
高揚した気持ちを持て余して眠れないまま、俺は考え始めた。

山本─美玲は、男に壁を作っている。

まず、俺の懐で安心していられるようにしないといけない。

そのために有効なのは、やはりまりあの存在だ。
『他に好きな女がいる』というのは、美玲の警戒心を解くのに都合がいい。

腹黒いけど暫く、このまま勘違いしていてもらおう。

そして、懐に入って来てから、気持ちを伝えよう。

その方が、手に入れられる確率が高い。

時間をじっくりかけて、逃がさないように。



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