恋の始まりの物語
ふたりのきもち 答え合わせ

~side 湯川~

「──あんたは、まりあが好きだったよね?」

美玲は、始めから順を追って確認していく。

「まあ…そうかな、入社してちょっとしたくらいからか。
お前に指摘されたのは、一年目くらいだな。」

「で、三年くらい、『まりあスキスキ話』を聞いてたよな、私。

まりあを好きじゃなくなったのは、いつくらいなんだよ。」

「うーん……正確には、まりあのことは、そういう意味で好きではなかったのかも」

「はぁ?!」

「アイドルとか女優とかを『可愛いな』とか『綺麗だな』とか、あるだろ。
あれに近いと気がついた。」

「…気がついたのは、いつよ」

「んー、お前が工藤さんと別れた頃じゃね?」

「そんな前?!」

目がまんまるになってる。
ブッと吹き出した俺を、美玲は睨み付けた。

「私を散々騙しておきながら、よくも吹き出したな…。

てか、じゃあ私を好きになったっていうなら、いつからよ!」

怒って赤くなっている目元も、強い眸も可愛い、なんて言ったら、またどやされそうだ。

「確信したのは、お前が工藤さんと別れた辺りだ。

でも、もっと前からお前が好きだったと思う。
お前が忙しくなって会えなかったとき、凄いストレス溜まったから。」

「──じゃ、5年くらい私のことを好きだったっていうわけ?
信じられない!
だって、ずっといい友達関係だったよね?」

「俺の作戦勝ちだ。

お前が男に警戒心持ってるのは分かってた。
5年かけてお前に安心して貰って、近付いて。

俺の鉄の自制心を誉めてくれ。」

「誉めるかっ!

じゃ、根本的に何で私なのさ!
あんた、もっといい女選り取りみどりでしょうが!!」

「──もっといい女なんて、いねえ。」

「はい?!目がおかしいでしょ。あんた…」
「俺はっ!!」

被せるように言って、美玲の言葉を止める。

「これ以上、聞いてられない。
俺の好きな女を侮辱するな。
例え、本人でも許さない。

──帰るぞ。」



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