恋の始まりの物語
「──いいわけあるかよ」

低い、声。
こんな声で話す湯川を、私は知らない。

いつも飄々として、人当たりよく。
お客様はもちろん社内でも、上下・男女問わず人気のある湯川。



───責任を感じてるなら、大きなお世話だ。



多少の恐怖は感じながらも、精神力を総動員して、湯川の目を見た。

「金曜日のことは、なかったことにして。
私たち、お互い酔ってたんだよ。

──お願いだから、もうその事で構わないで。
同期として友達としてなら、いくらでも付き合うから。」

「おーそうかよ。
じゃ、今日の仕事終わりに『リオン』集合な。
逃げんじゃねーぞ!」

「わかった、まりあと透も誘っとくね。」

「誰も誘わない方がお前の為だぞ。
誰か誘ったら、全部バラしてやる。」

「はあ?!」


< 6 / 43 >

この作品をシェア

pagetop