恋の始まりの物語
「…なんですと?!」
「ぶっ、おまえ色気ないな」
「いや、元から装備されてません」
「ベッドではあんなに可愛いのに」
「───!!!」

思わず、向かい合う湯川を凝視する。
そして、からかわれていると思った私は、強い口調で言う。

「だからっ、忘れてって言ってる!」
「忘れない。てか、忘れられない」

はあぁ?!
…いや私、冷静になれ。
熱くなったら、ヤツの思うつぼだ。
落ち着いて前を見るよう心がける。
真剣な眼差しの湯川。
強い眸。

でも、金曜日に言われたことを、私はそのまま信じることができない。

「ちょっと状況整理しようか」

なるべく淡々とした口調で、私は話し出した──
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