私の好きな人
近所に住んでる俺
一緒に登校してる俺
幼なじみになった俺
みんな、俺を羨ましがった
綺麗な容姿のうえ、明るい性格
人当たりも良く、敵を作らないタイプの彩月
俺の幼なじみは完璧だ
世の男たちにとって、もちろんスルーは出来ない存在だろう
中学入ったくらいまでは、男子達の彩月の話なんて適当に相槌打って逃げていた
ただ、いつからか
男子達から彩月の話を聞かされる度に、少しずつ苛立ちを覚えるようになった
彩月に対して想いを寄せる男子に、急に冷たくなったり
彩月へ渡して欲しいと預かった携帯番号が書かれたメモを、容赦なく捨てたりした
高校生になってからというもの、学校中で彩月の噂は広がり
俺と彩月の幼なじみの関係は学校の有名話
当の本人は全く気付いてなく、
それに対しても苛立ち
昔から何一つ変わらない彩月に、なぜか塩対応を繰り返していた
何がきっかけだったのか
気付いたら俺の頭は彩月のことばかり
「良平!おはよう!」
この笑顔に俺の心臓は何度も高鳴る
だけど彩月は幼なじみ
心臓が高鳴っている場合じゃない
きっと普段の距離が近いのも
幼なじみだから
毎朝俺の名前を呼んで笑って挨拶してくるのも
幼なじみだから
今まで、こんなに困惑したことなんてなかった
彩月のことを考えると
全身が自分じゃないような感覚に陥る
好きなんだと気付いてからは自然と苛立ちも少なくなっていった
彩月の笑った顔も、ふてた顔も、泣きそうな顔も、びっくりした顔も、挫けてる顔も…
全てが可愛いと思う