私の好きな人


この想いを伝えようなんて思ってない


このまま、変わらない関係でいいと思ってた



きっと彩月は、ずっと近くにいる存在


そんな甘い考えをしていた俺に



とうとう試練が降り注ぐ




「良平のクラスに転校生来たでしょ」

「イケメンがきたぁー!って女子達が騒いでたからさ」



彩月の口から転校生の話が出た時は久々に俺の心臓が跳ねた


イケメン転校生こと


小林 葵羽
こばやし あおば



転校してくるなり女子たちの視線をロックオン


よく分からないが友達の話からすると、1年生にして俺と小林は学校の2大王子で名を連ねることになったらしい



………王子


目の保養だの、拝みに来たのだの

俺はよく分からない…


廊下は年中騒がしいが、とくに気にすることもなく過ごしてきた


小林が転校してきてからも一層、クラス前の廊下はタイムセールでもしてるかのような賑わいを見せていた




「良平、モテるのも大変だな。俺と顔と全身変えてみるか?」

「うるせーよ」

「美人な幼なじみに、イケメン転校生か。そのイケメンな顔ゆえに巻き込まれてばっかじゃん」

「慣れた」

「余裕!さすが、カッコいい!それでこそモテ続けてきた王子の品格よ」

「……黙れって」



なぜかテンションの高い友達に、少しばかりイジられる



でも、俺の心境は少し違う



余裕なんてない


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